パズー「親方!空から女の子が!」 

1: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 【東電 77.1 %】 :2011/04/16(土) 13:22:19.48 ID:IR2YJwpe0 

空もまだ明るい都会のビルから1人の少女が飛び降りた。
自殺だった。

思春期特有の悩みか、友人関係での悩みか・・・現場から遺書は見つかっていない。
警察が自宅を捜索する時にでも何処からか出てくるのだろう。

第一発見者のパズーはその時のフラッシュバックに悩み、塞ぎこむ日が多くなった。
彼の心の傷が癒える時は遠い。

9: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 【東電 75.3 %】 :2011/04/16(土) 14:07:21.80 ID:znAcIGRbi 

その場所はパズーの職場から近い12階建てのビルだった。
以前は開放されていた屋上も今は封鎖されていて、路上の隅に献花が設けられている。

パズーの職場まで向かう足取りは重く、献花を見る度に、「ああ、あの子死んだんだ」と実感させられる。

とても生きている可能性がある状態を見た訳では無いが、余りにも現実からかけ離れた瞬間だったので、どこか悪い夢でも見ていた様な気さえもする。

11: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 【東電 75.3 %】 :2011/04/16(土) 14:18:05.91 ID:znAcIGRbi 

元々明るい性格だったパズーはふとした瞬間、思考を停止した様な表情をし、何か不安に駆られた様子を見せる。
親方や世話になってる人たちに心配させまいと気丈に振舞っている姿が逆に痛々しかった。

1週間は飛び降りた少女の話題で近所はざわめき、マスコミも未成年の自殺として現場まで取材に来た。
しかし、それを過ぎれば段々と話題に上げる人も少なくなっていった。

事件から数日が経ったある日、警察から呼ばれて現場検証と聴取をされ、礼金として3000円を受け取ったパズーは人の命の軽さを実感しながら警察署を後にした。

パズーの心の傷はきっと時間とともに本人も忘れていくのだろう。
あの時の少女が世間から忘れ去られた様に。